本来からだの外に出すべき便を十分量かつ快適に排出できず、検査や治療を必要とする状態を便秘症と呼びます。
便秘の方は便秘ではない方と比較して狭心症や心筋梗塞、脳卒中のリスクが高いとの報告もあり、便秘を放置すると生命予後を悪化させるリスクがあるとされています。
便秘の分類
便秘は大きく器質性(臓器そのものに炎症や腫瘍など異常があり、症状があること)、機能性(臓器には異常は無いにも関わらず症状があること)に分類されます。器質性には大腸癌や炎症性腸疾患といった病気があり、機能性には(便秘型)過敏性腸症候群、糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌・代謝疾患、脳卒中、パーキンソン病などの神経疾患、その他薬剤性、経口摂取不足などによるものがあります。
便秘の検査と診断
まずは問診、診察を行わせていただき、器質性便秘、機能性便秘の分類を行います。
これまでかかったことのある病気や受けたことのある手術、食事・生活習慣などを確認させて頂きます。
また内服薬による薬剤性便秘の可能性もございますので、おくすり手帳を忘れずにご持参ください。
その他ブリストル便性状スケールを用いて、便の性状を客観的に評価します。
特にType1のコロコロ便、Type2の硬い便の場合は便秘と判断します。
なお大腸癌などの器質性の便秘の場合には腸閉塞をきたすリスクがあるため、下部消化管内視鏡検査や腹部レントゲン検査を行わせていただく場合がございます。
便秘の治療
便秘の治療には薬物療法に加え食事/生活療法があります。
薬物療法としては以下の薬剤を患者さんの状態に合わせて個別、または組み合わせながら使用します。
①酸化マグネシウム
②刺激性下剤 センノシド、ピコスルファート
③分泌型下剤 アミティーザ、リンゼス
④浸透圧性下剤 ラクツロース、モビコール
⑤胆汁酸トランスポーター阻害薬 グーフィス
⑥漢方薬 大黄甘草湯、麻子仁丸、大建中湯など
食事/生活療法としては以下にポイントを挙げますが、あくまで一般的なものであり、患者さんの状態によっては異なる場合もございます。
- 欠食せず栄養バランスの良い食生活を送り、適度な運動を心掛ける
- 食物繊維(目標20g)を十分に摂る
野菜の目標摂取量は350g/日で、手のひらサイズ大の小鉢5-6皿となります。
- 水分補給を行う
食事で摂取する以外に1.0-1.5L/日の水分補給が望ましいです。
- 発酵食品を利用する
また当院ではクリニックには珍しく、管理栄養士が常勤として勤務しており、「栄養相談」という形で食事療法のアドバイスを行うことが可能です。予約制ではありますが、1回30分程度で行うことが出来ますので診察の待ち時間などを利用することが出来ますので、医師やスタッフにお気軽にご相談下さい。
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便秘で困っている方がいらっしゃいましたら一度ご相談ください。