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胃・十二指腸潰瘍

胃とは、「胃袋」とも呼ばれるように口から食道を通って入ってきた食べ物が蓄えられる袋状の臓器です。空腹のときは平べったくしぼんでいますが、満腹のときには風船のようにふくらんで1.5-2.5Lもの容積となります。

胃の主な働きは胃液と蠕動(ぜんどう)運動による食べ物の消化です。胃には噴門(ふんもん)と呼ばれる入り口、幽門(ゆうもん)と呼ばれる出口があり、食べ物の通過の調節を行っています。食べ物が胃の中に入ると、噴門から幽門に向かって胃の収縮運動である蠕動(ぜんどう)運動が起こり食べ物がすりつぶされます。またこのとき強力な胃酸や消化酵素などが含まれる胃液が分泌されます。

胃潰瘍とは

潰瘍は「かいよう」と読み、「潰」は崩れること、「瘍」は体の傷や出来物のことで、潰瘍は体の一部が崩れて出来た傷という意味です。胃潰瘍は、様々な原因によって、胃に炎症が生じて、胃の粘膜の一部が欠損した状態のことを言います。また同様のことが十二指腸に生じた場合を「十二指腸潰瘍」と呼びます。

胃潰瘍の原因

胃潰瘍の原因の過半数がヘリコバクター・ピロリ菌が原因とされています。しかし、現在では衛生環境の改善とピロリ除菌の治療の普及のため、ピロリ菌を原因とする胃潰瘍の頻度は減少してきています。

また、ピロリ菌以外に多い原因として、ロキソニンなどの痛み止め(非ステロイド系消炎鎮痛剤:NSAIDsと言います)があります。通常胃は、食べ物の消化に必要な胃酸や、たんぱく質を分解する消化酵素であるペプシンなどに傷つけられないよう、プロスタグランジンという“防御因子”により粘膜表面が保護されています。しかしNSAIDsはこと防御因子の産生を抑制し、長期間の内服により、胃の粘膜の防御能を下げて、胃潰瘍の原因となります。

胃潰瘍の症状
胃潰瘍の際に自覚する症状で最も多いのが、みぞおちの痛みです。この痛みは食事中から食後に起こることが多いとされています。その他にも、胃もたれ、胸やけ、吐き気、嘔吐、食欲不振などを訴えることもあります。勿論自覚症状を訴えない患者さんもいます。胃潰瘍が進行すると、その潰瘍部分から出血することや胃の粘膜に穴が空くことがあります。特に、胃潰瘍からの出血はタール便という真っ黒い便が出るのが特徴的で、出血により貧血が進行するとふらつきや息切れなどの症状を認める場合もあります。また胃に穴が空くと緊急手術が必要となる場合もあります。
胃潰瘍の検査と診断

上記の症状があれば胃潰瘍を疑い、胃カメラによる上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を行います。また胃潰瘍以外の病気を除外する目的で、血液検査や腹部レントゲン、腹部超音波(エコー)検査などを行う場合もあります。胃カメラ検査では、胃潰瘍の状態や潰瘍から出血しているかどうかなどを観察します。また胃がんなどの悪性疾患などが疑われる場合には組織を採取して調べたりすることもあります。

胃潰瘍の治療

痛み止めやピロリ菌の感染など原因がはっきりしている場合は、それぞれ内服薬の変更や中止、ピロリ菌の除菌を行います。また、胃酸による粘膜組織障害を抑えるため、胃酸分泌を抑制する薬を内服します。具体的には、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬などを用います。この他にも胃粘膜の防御因子を増強したり、胃の運動を活性化したりする薬を用いることもあります。

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