熱中症について

わだ内科・胃と腸クリニックの和田蔵人(わだ くらと)です。

今週末は非常に強い勢力の台風が近付いており荒れ模様の天気になるとのことで皆様お気を付けください。

さて最近は朝夕少しずつ涼しくはなっていますが、大分県のホームページを見てみると人数こそ少なくはなってはいますが熱中症で病院に救急搬送される方がまだまだいらっしゃいます。

実際、私自身の外来に最近でも数は少ないながら熱中症の患者様が来院されることがあります。

幸い私が担当した患者さん達は軽症の方が殆どですが、中には入院が必要で重症化される方もいらっしゃいます。

そこで今回は産業医の立場として来年以降にも役に立つ熱中症に関する知識、そして皆様に気を付けていただきたいことをお伝えさせていただければと思います。

まず皆さん、「暑さ指数」という言葉はご存知でしょうか。よくニュースなどで耳にすることはあるかもしれませんが、暑さ指数は簡単に言えば熱中症を予防することを目的とした指標で、1954年にアメリカで提案されました。

単位は気温と同じ℃で示されますが、その値は気温と異なり、①湿度、②周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標です。

この暑さ指数ですが、環境省の熱中症の予防情報サイト(リンクは大分市にしています)で簡単に確認することができます。通常(風通しの良い芝生上)の暑さ指数に加え、駐車場、住宅地、温室、体育館などシチュエーション別の指数を確認することができるため非常に便利です。

また数値によって高い方から危険、厳重警戒、警戒、注意、ほぼ安全に分類されます。

今週は雨が続いている影響もあり注意に留まっていますが、先週は日によっては暑さ指数が厳重警戒、危険に達している時間帯もあり、台風後に天気が回復した場合には注意が必要です。

またこちらの図はJAF(日本自動車連盟)がある年の8月の外気温35℃の中実施した車内温度テストですが、エアコン停止後わずか15分で暑さ指数は危険に達しているのが分かります。

毎年夏になると”車内に置き去り”にされたお子さんが死亡するというニュースを繰り返し耳にしますが、この表を自動車を運転する全ての人間が把握していただき、苦しい思いをするお子さんがいなくなることを願っています。

続いて熱中症の危険信号を挙げていきます。いずれもどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、重症化を防ぐためにも皆さまに今一度知っていただきたい知識です。

・高い体温

・赤い・熱い・乾いた皮膚(全く汗をかかない、触るととても熱い)

・ズキンズキンとする頭痛

・めまい、吐き気

・意識の障害(応答が異常である、呼びかけに反応がないなど)

こういった症状を自覚、もしくは周りの方が気が付いた場合には、涼しい場所に避難させる、体を冷やす、水分・塩分の補給を行わせることが大切ですが、速やかに医療機関受診をおすすめします。

またこちら厚生労働省が熱中症予防のために作成したリーフレットになります。

目を通してみてください。

その他2011年と少し古いものになりますが、住宅内の熱中症の調査のまとめが以下になります。

・外気温、日照時間が高いほど患者数・入院者数も多い

・集合住宅での熱中症が多く、特に集合住宅の最上階では重度の熱中症患者が多数

・住宅内における熱中症患者は、冷房・扇風機を使用していない方、窓開けを行っていない方が多数

・「居間・リビング」に続き「寝室・就寝中」が多数

特に高齢者の方は冷房機器を使用していない場合が多く、ブログを読んで下さった方でご家族もしくはご近所にご高齢の方がいる場合には是非お伝えしてあげてください。

少し驚きだったのが寝室・就寝中に多いという結果です。これは温熱環境が適切に管理しにくいというのが理由になりますが、夜間であっても熱中症のリスクがあるということは知っておいて欲しい事実です。

以上熱中症について情報提供させていただきましたが、まだまだ暑い日が続くと思われます。

皆さま各自で体調管理に気を付けて熱中症にならないように気を付けましょう。

消化器内科

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