胃カメラ検査でどこを、なにを見てるの?

わだ内科・胃と腸クリニック院長の和田蔵人(わだ くらと)です。

今回は”胃カメラ検査ってどこを、なにを見てるの?”ということでお話させていただきます。

多くの病院、クリニック、もちろん当院でも行っている胃カメラ検査ですが、実際どこを見ているのだろう、何を見ているのだろうと疑問を持たれている方も多いかと思います。眠っている間に終わるからいいや、異常がないと言われたから別に‥というご意見もあるかと思いますが、ご自身で受けられる検査について少しでも知っていただければ幸いです。

いつも細かくついつい長くなってしまう当ブログですが、今回は出来るだけ短く、また胃のイラストを使ってここを見ていますよということを説明させていただきます。

まず本題に入る前に胃カメラ検査と言いますが、通常は胃だけでなく、”食道”という胃の手前にある食べ物の通り道と、胃の奥にある”十二指腸”まで観察する検査です。

ですので正式名称は上部消化管内視鏡検査と言ったりします。

食道は、食道がんや逆流性食道炎などがないかの確認を行います。

特に逆流性食道炎は胸焼けやのどの痛み、咳などの原因になることもあります。

そして胃は、胃がんはもちろんですが、ピロリ菌に感染していないかどうかや胃潰瘍などがないか確認をします。また時には最近ニュースでも聞くことがあるかと思いますが、アニサキス(胃の壁に刺さっていることがあります)などの除去を行うこともあります。

大分県は海の幸が豊富でアニサキスの患者様が多い印象です。余談になりますが、通常は1匹でも強い胃の痛みの原因になるアニサキスですが、以前の勤務先で10匹を超える大量のアニサキスの患者様がいらっしゃって驚いたのを記憶しています。※アニサキスについてはまたブログで取り上げさせていただきます。

つづいて十二指腸は、胃と同様に潰瘍がないかどうか、そして十二指腸乳頭部という胆管(胆汁の通り道)や膵管(膵液の通り道)の出口の部分にがんなどの腫瘍がないかを確認します。

他にも色々な病気や変化がないか考えながら検査を行っていますが、簡単に言えばこんな感じです。

それでは本題のどこを見てるの?ですがここで胃のイラストの登場です。

①は食道、②は食道胃接合部というその名の通り食道と胃のつなぎ目の部分です。

⑥、⑦が十二指腸ですが、⑥が十二指腸球部という入り口の部分で潰瘍が出来やすいことでも知られています。また⑦を十二指腸下行脚といい、この部分の観察の際に先ほどの十二指腸乳頭部の確認を行います。

そしてその他が胃ということになります。食道、十二指腸と比べて観察部位が多いことが分かり、一般的に胃カメラと呼ばれていることも皆さま納得されたかと思います。

今回のイラストの胃の部分の名称ですが、③を胃体部小彎、④を胃角部小湾、⑤を幽門部、⑧を前庭部、⑨を胃体部大彎、⑩を胃体上部、⑪を穹窿部と呼びます。

胃は口側から噴門部という胃の入り口、穹窿部(きゅうりゅうぶ)、胃体部(上部、中部、下部に分かれます)、胃角部という胃の角の部分、前庭部、幽門部の順に名前があります。

幽門部は胃の出口の部分(幽門輪ともいいます)、前庭部は胃の出口の付近のことです。

なお小彎はしょうわん、大彎はだいわんと呼び、前者は胃角がある小さくカーブした側のことを指し、後者は下側の大きなカーブのことを指します。

*今回は7つの部位の名称の説明をしましたが、胃の部位の名称は今回挙げさせていただいた以外にもありますのでご注意下さい。

以上、今回のテーマである”胃カメラ検査でどこを、なにを見てるの?”についてお伝えさせていただきました。分かりにくい点もあったかと思いますが、皆さまの疑問解消に少しでも繋がることができたらと思っております。

なお私はこれまでの勤務先において、健診目的の胃カメラや治療目的の内視鏡検査などを数多く行ってきました。日本消化器内視鏡学会の専門医を持っており、現在の勤務先の大分市医師会立アルメイダ病院では内視鏡センターの役職を担っている内視鏡の専門家です。

わだ内科・胃と腸クリニックではこれまでの経験を生かし、皆さまの病気の予防、病気の早期発見のために胃カメラ検査を行わせていただきます。

これまで胃カメラ検査を行ったことがない方、ピロリ菌と言われて放置されている方、ピロリ菌の治療は成功したけどその後の検査を行っていない方、何かお腹の症状がある方、どんな方でも一度お声掛けいただければと思います。

当院では経鼻内視鏡という鼻から入れる胃カメラを採用しており、苦痛の少ない検査を受けることができますのでぜひお待ちしております。