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C型肝炎について講演会を行いました

[2022.08.30]

こんにちは。わだ内科・胃と腸クリニック院長の和田 蔵人(わだ くらと)です。

少し前の話になりますが、7月27日に北九州、大分の医師、看護師さんなどを対象としたWEBセミナーの講師を行わせていただきました。

現在アルメイダ病院では内視鏡部門の責任者であり、クリニックの名称も胃と腸と付いてはいますが、私は肝臓専門医という肝臓の病気を専門とした資格を持っています。

この専門医資格ですが大分市内では20数人しか持っておらず、その関係もあって今回WEBセミナーの講師の大役をいただきました。肝臓2 weeks Seminarという2週間に渡って計7人の医師が講演を行いましたが、大分県内からは私と大分医療センターの消化器内科部長の山下勉先生が選ばれました。

講演のテーマは「C型肝炎の診断と治療〜今後の課題も含めて」ということでお話させていただきましたが内容について簡単に説明させていただき、皆様の健康長寿に少しでもお役に立てればと思います。

まず慢性肝炎や肝硬変といった肝臓の病気の原因として、皆様なじみ深いものとして脂肪肝や飲酒(アルコール)がありますが、その他ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。ウイルス性肝炎には代表的なものとしてB型肝炎に加え、今回の講演のテーマとなったC型肝炎があります。

慢性肝炎の原因の70%がC型肝炎とされており、慢性肝炎を放置すると肝硬変へと移行し肝臓がんを発症することが知られています。*慢性肝炎の状態でも肝臓がんを発症することがあります。

2020年のデータでは肝臓がんによる死亡者数は男女合わせて第5位(1位が肺がん、2位が大腸がん、3位が胃がんです)と上位に来ておりC型肝炎の正しい診断、治療を行うことが肝臓がんの撲滅、死亡者数の低下に繋がると考えております。

C型肝炎はC型肝炎ウイルスが血液や体液を介して感染するもので(性行為での感染はまれとされています)、感染しても約30%が自然排除されますが、70%は慢性肝炎へと移行します。感染経路としては以前は感染している人の血液を用いた輸血や血液製剤などが話題となりましたが、現在は刺青やタトゥー、十分に消毒されていない器具を用いてピアスの穴を開けるなどがあります。

そしてC型肝炎(に関わらず肝臓の病気全般)の恐ろしいところは、肝臓=沈黙の臓器などと呼ばれたりしますが症状が出にくく、感染後10-30年という経過を辿って肝硬変へと移行し肝臓がんなどを発症することです。

またC型肝炎が発見されるきっかけの約70%が健康診断や献血、人間ドック、約10%が他の病気で医療機関を受診された際に指摘されると報告されており、80%の方が偶然発見されているということになります。

そこで今回皆様に是非お伝えしたいことはただ一つ、ご自身がC型肝炎に感染していないか一度検査をして頂き、必要であれば治療を受けていただきたいということです。

日本国内には推計で100-150万人のC型肝炎ウイルスの感染者がいるとされていますが、半分近くの方が感染を知りながら治療を受けていないとされています。

理由としては医師に通院しなくていいと言われた、経過観察と言われたが上位にあり、私は医師側の問題点が非常に大きいと考えています。

大分県のホームページにも記載されていますが、自分が肝炎ウイルスに感染しているかどうか知らない方、特に肝炎ウイルス検査を受けて欲しい方に当てはまる方は当院でも無料(自己負担なし、*肝炎ウイルス検査に限ります)で検査を受けることが出来ますのでご相談いただければと思います。

またご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、C型肝炎に対しては以前はインターフェロンという治療薬が用いられていました。ただし脱毛や皮膚症状、肺炎など色々な副作用があり、抑うつ症状に至っては30%以上と高頻度で治療を途中で中断するケースも多く認めました。治療の成功率も50%以下と低かったことから現在もC型肝炎の治療に消極的な患者さんも数多くいらっしゃいます。ただし2014年にDAA(直接作用型抗ウイルス薬)という飲み薬だけで治療を行えるインターフェロンフリー治療が開発され、副作用も少なく、最短で8週間の治療期間でほぼ100%に近い割合で治療に成功する時代となっています。当院の外来でも治療を行える様準備をしておりますので、是非お声掛けいただければと思います。

ただしC型肝炎の治療が成功しても肝臓がんのリスクはゼロになる訳ではありませんので、引き続き当院を受診いただければと思います。

C型肝炎による肝硬変、そして肝臓がんで苦しまれる患者様を少しでも減らすことが出来る様当院スタッフ一同努力していきたいと思っています。

 

 

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