すい臓の病気(急性膵炎・膵のう胞・膵臓がんなど)
すい臓は、漢字で膵臓と書きます。食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に分泌する(送り出す)外分泌機能と、血液中の糖の量を調節するホルモン(インスリンやグルカゴンなど)を血液中に分泌する内分泌機能の2つの機能を持っています。
これらに異常をきたすことで、膵炎や、膵のう胞、膵臓がんの病気がおこります。また、糖尿病も内分泌の機能に異常をきたして、血糖値が異常に上がる病気です。
膵臓は胃の後ろに位置しており、長さは20cmほどの細長い形をしています。
急性膵炎
急性膵炎はアルコールや胆石が原因となり、膵臓に急性の炎症をきたした状態です。男性の場合はアルコール、女性の場合は胆石が原因として多い傾向にあります。その他にも、薬剤性や外傷性などが原因として知られています。
急性膵炎の症状
急性膵炎の最も多い症状は上腹部(みぞおち)の痛みですが、ときにその痛みが背中にまで広がることもあります。その他にも発熱や嘔吐などの症状があり、その状態が悪化すると、意識障害やショックといった重篤な状態になることもあります。
急性膵炎の検査と診断
急性膵炎が疑われた場合には、血液検査で膵酵素や炎症反応の上昇の有無、腹部エコー検査や造影CT、MRI検査によって診断し、その重症度判定も行います。
急性膵炎の診断基準(一部改変)
- みぞおちに急激な腹痛と押した時の痛みがある。
- 血液検査または尿検査でアミラーゼやリパーゼといった膵酵素の上昇がある。
- 腹部エコー検査やCT、MRIで膵臓に急性膵炎に伴う異常所見がある。
上記の3項目中2項目以上を満たし,他の膵臓の病気や腹痛の原因となる病気を除外したものを急性膵炎と診断します。
急性膵炎の治療
急性膵炎は重症化すれば、命に関わる可能性もあり入院での治療が行われます。
急性膵炎では浸出液が生じ、血管内の水分が不足するため①十分な量の輸液投与、食事によって膵臓の消化酵素がより活発となるため②絶飲食による膵臓の安静が必要となります。また強い腹痛も生じるため、鎮痛剤を適宜使用し、膵酵素の活性を抑える目的で蛋白分解酵素阻害薬というくすりが使用されることもあります。
また胆石が原因となった胆石性膵炎に対しては内視鏡治療(ERCP)が必要となります。
膵のう胞
膵のう胞とは、すい臓にある、液体が溜まっている袋状のもの(のう胞)です。この、のう胞が悪性の場合は手術によって切除する必要があります。
すい臓がん
すい臓がんは、すい臓にできるがんで、早期発見が非常に困難で、進行も早い病気です。喫煙や肥満、糖尿病、遺伝によるものなど、様々な要因で発症すると言われています。腫瘍マーカーや画像検査によって発見することができます。