アルコール性肝炎

アルコール性肝炎はアルコール(お酒)を常習的に飲んでいる人に発症する病気です。日頃から飲酒量の多い人は外見は痩せていても、肝臓に負担がかかり、脂肪が蓄積し炎症を起こすことがあります。治療せず放置すると、肝硬変へと病状が進行していく場合もあります。

アルコール性肝炎の原因

アルコール性肝炎の原因は長期(通常は5年以上)にわたる過剰の飲酒とされています。過剰の飲酒とは、1日平均純エタノール60g以上の飲酒をいいますが、女性やALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)活性欠損(低活性型、非活性型)の人では、1日平均純エタノール40g程度の飲酒でもアルコール性肝炎を起こしうるとされています。

*アルコールが体内に入ると、肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。この「アセトアルデヒド」をさらに分解するのが、ALDH2ですが日本人の約40%がこの活性が弱い「低活性型」、約4%が「非活性型」と呼ばれており、それぞれお酒に弱い、お酒を飲めない体質とされています。

アルコール性肝炎の症状

肝臓は「沈黙の臓器」とも言われており、肝臓に障害が起こっても多少であれば症状は出にくく、健康診断などで偶然異常値が発見されることも多いです。アルコール性肝炎の初期にもほとんど症状はありませんが、放置すると徐々に肝炎を引き起こし、肝硬変へと進行することもあります。肝炎や肝硬変になると、発熱や黄疸、倦怠感など様々な自覚症状が現れます。

また長期間多量に飲酒した結果、アルコールに対して精神依存や身体依存をきたす「アルコール依存症」を発症することがあります。

精神依存としては、飲酒のコントロールが効かない、飲酒したいという強い欲求が湧き起こる、精神的身体的問題がっかしているにも関わらず断酒しないなどが挙げられます。

身体依存としては、代表的なものとしてアルコール離脱症状(禁断症状)があり、手や全身の震え、発汗、不眠、イライラ感の他、幻覚や幻聴をきたす場合もあります。この離脱症状による症状から逃れるためにさらに飲酒を続け、結果的に以前と比べて酔うために必要なアルコールの量が増えてしまいます。

アルコール性肝炎の検査と診断

アルコール性肝障害の検査としてまずは血液検査を行います。ただし血液検査だけでは診断は付かず、他の肝臓の病気を除外するために画像検査(腹部エコー検査や腹部CT検査など)を行います。

当院では腹部エコー検査を行うことが可能です。

またAUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)というWHOによって開発された飲酒習慣のスクリーニングテストを用いて飲酒頻度、1日飲酒量、飲酒パターンなどをチェックさせていただいております。

アルコール性肝炎の治療

現時点でアルコール性肝炎の特効薬となる様なくすりはなく、原因となる生活習慣すなわち飲酒習慣の改善を行うことが重要となります。

なお非アルコール性の脂肪肝を合併することも多く、食事療法や運動療法を行って頂く場合もあります。

当院ではクリニックには珍しく、管理栄養士が常勤として勤務しており、「栄養相談」という形で食事療法のアドバイスを行うことが可能です。予約制ではありますが、1回30分程度で行うことが出来ますので診察の待ち時間などを利用することが出来ますので、医師やスタッフにお気軽にご相談下さい。

栄養相談について詳しく見る

またアルコール依存症がある場合には専門的な治療が必要となり、当院より依存症の専門医療機関をご紹介させていただく場合があります。

アルコール依存症の治療の最終目標は断酒を行うことですが、断酒のための第一歩としてまた軽症の患者さんにおいては飲酒量を減らす減酒治療を選択する場合もあります。

*入院による治療が必要な方、飲酒によって生じる問題が日常生活に支障をきたしている方、健康状態が重篤な方、緊急なアルコール離脱症状の治療が必要な方は断酒が必要です。

アルコール性肝炎、アルコール依存症で困っている方、またご家族の方がいらっしゃいましたら一度ご相談ください。

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