胆のうの病気(胆石症・胆のう炎など)
胆のうとは、胆汁(脂肪を消化するために肝臓で作られる液体)を濃縮して一時的に貯めるふくろ状の臓器です。肝臓と十二指腸をつなぐ管(胆管)の途中にあり、みぞおちと右側の脇腹の真ん中あたりに位置しています。西洋梨のような形をしており、 長さ7~10cm,幅3~10cm位で、50〜60mlの胆汁を貯えることができます。食事をすると胆のうは収縮し、胆汁を胆管から十二指腸に出し、脂肪の消化吸収を助けます。
胆石症とは
胆石症は胆道にできた石の総称です。結石の部位によって「胆のう結石」、「胆管結石」、「肝内結石」に分けられますが、胆のう結石が最も多く約80%を占めます。
結石は胆汁に含まれる成分が凝縮されて結晶化し固まったもので、近年の食生活の変化によって、日本では年々増加しており、成人の10人に1人は胆石をもっているとも言われています。
胆石は、その構成成分によってコレステロール石と色素石に分けられます。日本ではコレステロール石がおよそ80%を占めています。コレステロール石が出来やすい人の特徴としては、「5F」といって「Fatty(肥満)」、「Female(女性)」、「Forty(40歳代)」、「Fair(白人)」、「Fecund(多産婦)」が代表的ですが、血中コレステロール値の高い方、糖尿病の方なども注意が必要です。
一方、色素石は細菌感染が原因となることもありますが、原因が分からず生じる場合もあります。
胆石症の症状
胆石の症状は無いこともありますが、一般的には脂肪が多い食事後に、みぞおちや右季肋部(右の肋骨の下あたり)の激しい痛みを生じます。胆石が胆のう管に詰まって胆のうが腫れることをを胆のう炎、胆管に詰まって生じる炎症を胆管炎と言います。痛み以外にも、発熱や吐き気や嘔吐、黄疸などを生じることがあります。
胆石症の検査と診断
胆石症の診断には画像検査が有用であり、当院では腹部エコー検査を行っております。また症状などによっては血液検査や他の画像検査(腹部CT検査、磁気共鳴胆管膵管造影検査(MRCP)など)が必要となる場合もあり、提携病院に紹介させていただき検査を行なっております。
胆石症の治療
胆石症の治療は「胆のう結石、胆のう炎」、「胆管結石、胆管炎」によって治療法が異なります。
「胆のう結石」は症状の無い場合、経過観察することもありますが、胆のう炎による痛みなどの症状があれば外科手術(現在は腹腔鏡を用いた胆のう摘出術が第一選択です)が必要となります。
また「胆管結石、胆管炎」は症状の有無に関わらず、内視鏡を用いた結石除去術(ERCP)が選択されます。